どうも、何でも屋さんのささぴよです。
今回はカメラ周りのお話です。私自身もミラーレス一眼を利用して写真撮影をするのですが、作品を撮ることと商品を撮ることの大きな差というのがあります。それはピント。今回はそのあたりのお話をしていこうと思います。
用途によって違うピントの扱い
ピントについては好みが出たりもするのですが、大きな違いというのはそれぞれの写真の使われ方・撮られ方によるところが大きいです。大きくどんな感じで分かれるのか、私なりに分けてみました。
作品として撮る写真
作品として撮られた写真を意識的にみることは多くないかもしれませんが、広告などを含め意外と多く目に入るものです。わかりやすいのはポートレートや風景写真ですね。私は飛行機をひたすら撮ったりしています。
このとき、皆さんが「良いな」と思う物の多くは「ボケ」がしっかり出ていて、被写体にピントがバチッと来ている物なのではないかと思います。この「ボケ」ですが英語で「Bokeh」と書かれる日本語から英語に輸出されたタイプの言葉だったりもします。(ちなみに「Boke」だと、一般的な発音ルールで「ボウク」となってしまうので、それを避けるために「Bokeh」としたというお話がある様ですね。)
つまり、作品の多くは奥行きを感じさせ、それによって被写体を引き立たせるという役割を持つために「ボケ」が重要視されることが多いハズ。もちろん、意図的に広くピントを合わせることもあると思いますが、目線が落ち着かない写真になる事が多いですね。
コレはちょっとピントとは違う部分のお話になりますが、スピードを感じさせるような写真については全体にピントが合っているにもかかわらず被写体が浮かび上がることが多いです。渋谷のスクランブル交差点で一人だけが動かずに立っているような写真は誰しも一回くらい目にしたことがあるのではないかと思います。シャッタースピードを伸ばすことにより、動いているものが「ブレ」ることで「ボケ」の役割を代わりに担っているという感じですね。もちろん「ボケ」と併用することもありますね。
建築系の写真
実は私、建築系の写真にはものすごく違和感を感じるのですが、皆さんはどうでしょう?
この建築系の写真、主に物件の建物写真についてはパースの調整が入っていることが殆どです。パースというのはperspectiveが略されたカタカナ語で、「奥行き」などの意味合いがあります。
実際にどのように調整されているかというと、実際の写真から「本来垂直であるべきライン」を垂直にする様に調整されています。例えば、ビルの角から少し離れた位置でビル全体を撮ろうとすると、正面に来る角が綺麗に垂直でもビルの両端のラインは上に向かってすぼんでいくはずです。コレを画像処理アプリ等で調整し、地面から垂直に有るべき線を垂直になるよう調整すると物件写真になります。
実際にみている写真とは雰囲気が大きく異なり、手前に向かって激しく主張されているような印象を受けると思います。
ここまではパースのお話でしたが、加えて建物全体にピントが合っているという事が多いです。建物全体にピントを合わせるために、いろいろと撮影の手法はありますが、そのあたりはテクニック・セッティングとして、ちょっと後でご紹介しましょう。
商品写真
ちょっと寄り道をしましたが、商品写真は、コレはコレでとても特殊で「全ピン」で撮影されます。「全ピン」というのは「全体にピントを合わせた」写真という意味合いで、商品のどこを見てもピントが合っている状態を指します。
コレだけを聞くと「えっ、そんなの割と簡単に取れるんじゃないの?」という話になりそうですが、それは商品のサイズなどによっても変わってきます。
商品のサイズが小さい場合、ピントを当てる位置が近いので、ちょっとした奥行きがボケに繋がりやすくなります。逆に奥行きのない商品(ノートなどが良い例ですね)を撮影する際にはあまり気にしないで良いのですが、ゴルフクラブなどはものによって10cm程度の奥行きもあり、ピントのブレは出やすいです。
逆に商品のサイズが大きい場合、例えば車などは、奥行きが広すぎてピントの合う範囲に被写体が収まらないという事になります。コレもボケの原因です。
ではどのように撮るのかという話…は、素材を用意して追って別記事でご紹介しようと思うのですが、ザックリ言うと、「カメラを固定していろいろな所にピントを合わせて撮った写真をPhotoshop等で合成する」というやり方がメジャーではないかと思います。中には3Dモデルを利用してレンダリングするという手もあると思います。(SoftStepsStudioでは3Dも扱っていますので、ご相談下さい!)
ピント合わせの考え方とセッティング
ピントというのは「合って見える範囲」というゾーンがあります。コレを被写界深度と呼んだりします。「被写界深度が狭い(浅い)」というと、ピントが合って見える範囲が狭いので、ちょっとズレるとすぐボケるということですね。逆に「被写界深度が広い(深い)」というと、ピントが合って見える範囲が広く、ちょっとやそっとでボケて見えることはないということです。
この被写界深度は、カメラのレンズ(正確に言えばセンサーやフィルムになるとおもいます)からの奥行きで一定の範囲になるわけですが、コレをコントロールするために調整するべきなのが「シャッタースピード」「絞り」「ISO感度」です。
シャッタースピードを速くすると、「ブレ」が減ります。いろんなものを止まったように切り取ることができるので作品でも使われる事があります。私は噴水の写真を止めたりするのが好きなので、シャッタースピードを速くすることがあります。ただ、時間が短いということは、センサーやフィルムが感光する時間が短いということ。つまりは暗くなりやすいわけです。ゆえに、速ければ良いというものでもないわけですね。
それに対して絞りです。絞りは「開放」と「絞った状態」の間で調整されますが、開放すればするほど、入ってくる光が多くなります。それは、カメラのレンズの中に含まれる羽の部分が穴を大きくしてくれることで、光の入る量を増やしてくれているからですね。ただ、コレには欠点があります。ピンホールカメラなどを覗いたり、工作で作ったことのある方にはわかると思うのですが、穴は小さい方が綺麗な像が得られます。穴が大きくなると、それだけ大きな範囲の光が一点に届くので「ボケ」が発生します。なので、絞った方が被写界深度を広くできるということになりますね。絞りの数値は小さいほど開放されていることになります。
更にそれを助けるのがISO感度です。フィルム時代にはフィルムの粒子の細かさ次第でこの数値が分かれていたのですが、フィルムの粒子が細かければ細かいほどしっかり感光する必要があり、粒子の細かい綺麗な像を記録できるのに対して、フィルムの粒子が大きいとザックリとした感光で像を記録できるのに対してアラが目立つようになるという事です。コレはデジタルの世界でも感光のさせ方の調整として使われています。ISOは小さい方が粒子が細かく、大きい方が粒子が大きくなるイメージです。数字が大きければ「感光しやすいけど、粗くなりやすい」ということになります。
この三つを組み合わせてピント合わせを行います。もちろん上手く合わせないと暗い写真や明るい写真、ブレた写真や止まった写真と、想定と違う写真になってしまうので注意が必要です。
ザックリと組み合わせを考えると、
- ボケを出したいなら、レンズを開放しよう
- 暗さを補うなら、ブレを許容してシャッタースピードを伸ばすか、ISO感度で調整しよう
- ピントを広く合わせたいならしっかり絞ろう(一般的な写真撮影ならf8-11程度がよく使われると思います)
- 基本的にISO感度は最後の微調整のつもりで使えると理想的
という感じだと思います。コレだけであなたもいろんな写真が撮れますね!
全ピンの大切さ
商品は細かい所まで確認できることが求められます。最近のECサイトでは特に商品写真の拡大が可能だったりして、なおのこと細かい点まで見られてしまうことがあります。そのときにピントがボケている部分があったりすると「よく見えないから(購入するのを)やめておこう」となる方もいるでしょう。ディテールが大事な商品であればなおさらです。
売りたい商品を適切にアピールするために、雰囲気を表現する写真の他に、一枚は全ピンの写真をつけておきたいところです。商品の奥行きを見定めながら、手前側から順番にできるだけ多くの場所にピントを合わせた写真を用意して、Photoshopで合成してあげましょう。すると全ピン写真は簡単に作る事が出来ます…と、この流れを書くのは2回目ですが、素材を用意して改めてこの手順を記事にしたいなと思っているので、もう少しお待ちください。
ちなみに似たような流れで、車のない幹線道路とかも作れたりします。もちろん全ピン写真の制作とは違う所もありますが、位置を合わせるところなどは全く同じ流れだったりします。iPhoneやAndroidで撮った写真であってもやれるので、良かったら素材を撮って続きをお待ちください。
ということで、写真のピントのお話を通して、全ピン写真というものの紹介をしていきました。
現物のある商品なら、実際に撮影するのが一番ということも多いと思いますが、映り込みなど気を遣う範囲も広いので、なかなか難しいこともあるでしょう。そんな時には3Dモデルを利用してレンダリングするのがとても効果的です。パッケージが変わった際などの対応もしやすいですのでオススメです。
もし商品撮影や3Dモデリングなどのご相談があれば、一度SoftStepsStudioまでご連絡下さい。
同じくブログ記事で触れてみてほしいものがあればTwitter等でお知らせ下さい。
ではまた次回!